卓話

［2445回 例会］小泉　隆一郎君

＜ロータリーの職業奉仕とは何か？＞
職業奉仕とはアーサー・フレデリック・シェルドンが提唱し、ロータリーが採択した、他の奉仕団体に無い概念。
シェルドンの職業奉仕理念から始まり、時代・状況等によって変化し、今日に至った理念が現在の職業奉仕理念と言える。

＜職業奉仕理念の歴史＞
1910年8月：第１回全米ロータリークラブ連合会年次大会（シカゴ大会）
「シェルドンのスピーチ」
◇19世紀の実業界は、人間の本能をむき出しにした弱肉強食の競争主義。
◇20世紀の実業人を成功に導く方法は、利益を他人とシェアするサービス学を遵守すること。
◇正しい経営学とは、他人に利益をもたらすこと。
◇販売学とは、他人に対して奉仕する学問。
◇He profits most who serves his fellows best.

1911年8月：第２回全米ロータリークラブ連合会年次大会（ポーランド大会）
「大会宣言の結語として採択された言葉」
◇He profits most who serves best.
◇Service,not self

1989年：規定審議会
『職業宣言』を採択
１．職業は奉仕の一つの機会なりと心に銘ぜよ。
２．職業の倫理的規範、国の法律、地域社会の道徳規準に対し、名実ともに忠実であれ。
３．職業の品位を保ち、自ら選んだ職業において、最高度の倫理的規準を推進すべく全力を尽くせ。
４．雇主、従業員、同僚、同業者、顧客、公衆、その他事業又は専門職務上、関係を持つすべての人々に対し、等しく公正なるべし。
５．社会に有用なすべての業務に対し、当然それに伴う名誉と敬意を表すべきことを知れ。
６．自己の職業上の手腕を捧げて青少年に機会を開き、他人からの格別の要請にも応え、地域社会の生活の質を高めよ。
７．広告に際し、また自己の事業又は専門職務に関して、これを世に問うに当たっては、正直専一なるべし。
８．事業又は専門職務上の関係において、普通には得られない便宜ないし特典を同僚ロータリアンに求めず、また与えうることなかれ。

011年11月：理事会決定
『ロータリアンの職業宣言』を修正して『ロータリーの行動規範』を創設
１．全ての行動と活動において、高潔性という中核的価値観の規範を示すこと。
２．職業の経験と才能をロータリーの奉仕に生かすこと。
３．高い倫理基準を奨励し助長しながら、個人的活動及び事業と専門職における活動のすべてを倫理的に行うこと。
４．他者との取引の全てにおいて公正に務め、同じ人間としての尊重の念をもって接すること。
５．社会に役立つ全ての仕事に対する認識と敬意の念を推進すること。
６．若い人々に機会を開き、他者の特別なニーズに応え、地域社会の生活の質を高めるために、自らの職業的才能を捧げること。
７．ロータリアン及びロータリアンから託される信頼を大切にし、ロータリーやロータリアンの評判を落としたり、不利になるようなことはしないこと。
８．事業又は専門職上の関係において、普通には得られない便宜ないし特典を、同輩ロータリアンに求めないこと。

2014年：理事会決定
『ロータリーの行動規範』修正
１．個人として、また事業において、高潔さと高い倫理基準をもって行動する。
２．取引のすべてにおいて公正に務め、相手とその職業にたいして尊重の念をもって接する。
３．自分の職業スキルを生かして、若い人びとを導き、特別なニーズを抱える人びとを助け、地域社会や世界中の人びとの生活の質を高める。
４．ロータリーやロータリアンの評判を落とすような言動は避ける。
５．事業や職業における特典を、ほかのロータリアンに求めない。

2014年10月理事会決定
「５．事業や職業における特典を、ほかのロータリアンに求めない。」を抹消
『ロータリアンの行動規範』
ロータリアンとして、私は以下のように行動する。
１．個人として、また事業において、高潔さと高い倫理基準をもって行動する。
２．取引のすべてにおいて公正に務め、相手とその職業にたいして尊重の念をもって接する。
３．自分の職業スキルを生かして、若い人びとを導き、特別なニーズを抱える人びとを助け、地域社会や世界中の人びとの生活の質を高める。
４．ロータリーやロータリアンの評判を落とすような言動は避ける。
※ 2014年10月理事会において、ラビンドン会長エレクトの提案によってロータリアン同士の物質的金銭的な相互扶助が認められ、ロータリーは1905年の物質的相互扶助の世界に戻ったと言える。

＜四つのテストについて＞
「四つのテスト」は1932年、シカゴ・ロータリークラブ会員ハーバート J テイラーにより発案されました。倒産寸前の会社を建て直す役目を担ったテイラーは、仕事における全側面において従うべき倫理的指針として「四つのテスト」を創り、このシンプルな哲学のおかげで、この会社は倒産を逃れました。

【四つのテスト】
言行はこれに照らしてから
１．真実かどうか
２．みんなに公平か
３．好意と友情を深めるか
４．みんなのためになるかどうか

＜ロータリアンの職業奉仕＞
【企業の社会的責任とロータリー】
企業の社会的責任は、事業が行われる地域社会と環境に対して、企業が責任を持つことを意味しています。

【知らないうちに実践している日本人の職業奉仕】
2015年地区研修協議会職業奉仕部門での後藤リーダーの言葉に凝縮されている。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
職業に誇りを持ち、コンプライアンスを順守した事業発展に努力し、地域社会の支持を得ると共に税金を完納する。
前工程・後行程への配慮をした事業推進により、仕入先の満足（互恵取引）・販売先の満足（CS）・従業員の満足（ES）向上を追求する。
具体的な奉仕活動のアイディアが無い時は、一所懸命事業を推進して下さい。それは素晴らしい職業奉仕活動となるハズです。

＜職業奉仕入門に紹介されている職業奉仕の実践＞
◇「四つのテスト」と「ロータリーの行動規範」について、例会で話し合う。
◇ある職業分類を取り上げた例会プログラムを実施する。
◇例会で、各会員が自分の職業について話し、互いの職業について学び合う。
◇会員の職場訪問を行う。
◇職場で倫理に関する研修を行う。
◇地域社会での奉仕プロジェクトで職業スキルを生かす。
◇高潔の精神で仕事に取り組み、言動を通じて模範を示すことで倫理的な行動を周囲に促す。
◇若者のキャリア目標を支援する。
◇専門能力の開発を奨励し、指導する。
◇職業に関連する親睦活動グループに参加したり、新たにグループを設立する。
◇若者を対象とした作文やスピーチのコンテストを実施する。

＜職業奉仕ニュースレターに紹介されているクラブでの職業奉仕プロジェクト例＞
◇地元地域の人々を招いた異業種交流イベント
◇失業者や転職希望者のためのキャリア相談室
◇若者や学生の進路相談
◇高い倫理を実践した地元企業等の表彰
◇職業のスキルを生かした奉仕活動