伊勢原ロータリークラブについて
卓話
[2495回 例会]萩原 庸嘉氏
卓話の当番です。職業卓話でペンキのお話をしても皆さん興味ないと思いますので、好きな歌舞伎の話でもさせていただきます。どうぞご容赦ください。
みなさん、歌舞伎に関する言葉で「十八番(おはこ)」という言葉をご存知かと思います。これは成田屋 市川團十郎が得意として上演していた荒事の演目18作をいいます。
そもそも戯作の台本を書箱に入れて門外不出で管理していたので十八番(おはこ)と言われているそうです。その十八番18作の中でよく上演されるものをご紹介します。
まずは「助六」(助六所縁江戸櫻)です。江戸で評判の美男、花川戸助六(はなかわどすけろく)という侠客に姿をやつした曾我五郎は、失くした家宝の刀「友切丸」を探すため吉原に通い、遊客にわざと喧嘩を売って、刀を抜かせて「友切丸」かどうか見極めようとする話しです。
次は「勧進帳」です。義経 武蔵坊弁慶一行が逃る途中の「安宅の関」での一幕となります。義経一行が山伏に化けているらしいとの情報を既に聞いていた関守の富樫左衛門は到着した山伏一行を厳しく調べ始めます。弁慶は、東大寺建立の為に諸国を勧進(寄付集め)していると偽りますが、
富樫はそれでは建立の為の勧進帳を読めと迫ります。もとより勧進帳など持っていない弁慶は他の巻物を勧進帳のように即興でそれらしく読み上げます。義経似の強力を見て再び疑われますが弁慶は変装した義経に「お前のせいで疑われ、迷惑至極!」と散々に杖で打擲します。
これを見た関守は、もし主君ならここまで打たないだろうと、疑いを解いて一行を通すといった話しです。幕が引かれ、一人花道に残った弁慶は富樫に向かって深く一礼します。そして義経たちを追って花道を飛び六方を踏みながら豪快に引っ込む姿が印象的です。
最後は「暫」。舞台は鶴岡八幡宮。清原武衡がこころよく思っていない義綱に難くせをつけ、「商人が使う卑しきものを奉納するとは、神社を冒涜するのか」と掛額を引きおろし、無理難題を浴びせます。承諾しない義綱に腹を立て、臣下たちに命じて義綱ら一同を斬り殺そうとする。
まさに絶体絶命のその時、花道の揚幕(あげまく)の向こうから「しばらく!」と大きな声。ムカデのような車鬢のかつらを被り、顔に真紅の筋隅をして、柿色の四角い凧のような、紋付きの巨大な衣装をまとい、大太刀を差した、周囲を威圧するような大男が登場する…。
この「暫」は顔見せと言って役者達が一堂に並ぶので、東京歌舞伎座では11月の公演が多いと思いです。
ほかにも歌舞伎にまつわる話しは尽きないのですが、お時間となりました。
ご清聴ありがとうございました。
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