私の仕事は弁護士ですので、本日は法律のお話をさせていただきます。
民法のうち、債権関係の規定が 121 年ぶりに改正されます。今回の改正は、契約一般に関するもので、非常に重要 です。施行日は平成 32 年(2020 年)4 月 1 日です。
■当事者の意思を尊重します 契約書前文や目的条項において契約締結に至る経緯や動機、当事者の意図等を明示することとなります。 ■瑕疵担保責任が変わります 改正民法では「瑕疵」という言葉がなくなります。契約内容に不適合でも買主は催告の上追完請求できます。追完に 満足できなければ代金減額請求か解除となります。
■解除が変わります 帰責事由は不要となりました。債務者が履行できない事情は関係なく履行ができなければ、解除できます。 ■契約書に解除条項を定める方法 [債権者に有利な条項]相手方が本契約の定めに違反した場合、相手方への書面による通知により、直ちに解除でき る。 [債務者に有利な条項]相手方が、故意または過失により本契約の定めに違反した場合、相手方への書面による通知 により、直ちに解除できる。
■法定利率
年 3 パーセントです(3 年に一度見直し)商事法定利率は削除されました。
■銀行振り込みの鉄則 振り込みの場合、債権者が預貯金の払い戻し請求権を取得した時に弁済の効力が生じるとの規定が新設されました。 ■諾成的消費貸借契約
債権者が権利を行使できると知った時から 5 年、権利を行使できる時から 10 年と改正されました。
■賃貸借契約 敷金については、判例に従い賃貸借が終了し、賃貸物が返還された明渡し時に発生すると規定されました。 ■原状回復義務
賃借人がその費用を負担することは、原則として否定されます。
■連帯保証 主債務者とは別に連帯保証人に履行の請求をする必要があります。1契約締結時2主債務の履行状況について保証人 から請求があったとき3主債務者が期限の利益を喪失したときに保証人に対する情報提供義務が定められました。 ■請負契約 瑕疵修補請求の規定は削除されました。売買契約と同様に追完請求として、修補を求めるか代金減額請求もしくは解 除することになります。
■不動産建築請負契約の解除 目的物に瑕疵や欠陥があり、契約の目的を達することができない場合には、同様に解除できます。瑕疵のある建物 は、社会的にも不要であることから土地等の請負契約も解除できることになりました。
■定型約款 保険、銀行、運送、宿泊、ソフトウエアに購入ライセンス等の取引については、みなし合意が成立するようになりま す。
以上、わかりにくい部分もあると思いますが、個別の質問にもお答えしますのでよろしくお願いいたします。ご清聴 ありがとうございました。