Isehara Rotary Club DISTRICT2780

伊勢原ロータリークラブについて

卓話

[2566回 例会]鈴木 康弘氏
 昭和43年生まれの50歳です。伊勢原で育ち、高部屋小学校、山王中学校、秦野高校へ通いました。大学は、京都にある同志社大学へ入り、4年間、京都で過ごしました。大学卒業後は、サントリーに就職しました。技術系で入ったので、ビール工場やウィスキー工場、ワイン作りなどを研修し、その後は、東京赤坂のオフィス勤務でした。サントリーは、企業メッセージとして「水と生きる」ということを謳っていますが、私は「油と生きる」ことを選択し、4年間でサントリーをやめて、現在の鈴木油脂に入り、以来20年以上、油にまみれて仕事をしています。
 鈴木油脂は、創業50年で、私の父親が伊勢原の石田の地で創業して、現在は、石田と歌川の工場2箇所で仕事をしています。油の仕事をやっているのというと、たまに間違われるのですが、エンジンオイルとか機械油といった鉱物油ではなく、食用油脂に関する仕事をしています。
 事業としては大きく2つに分かれて、食用油脂を製造する仕事とリサイクルする仕事です。食用油脂の製造では、豚とか牛の脂肪から食用の油脂を抽出しています。豚の脂肪から作る油はラード、牛の脂肪から作る油は牛脂ということです。スーパーに売っている加工食品のカレー、カップラーメン、冷凍食品を見ていただくと、原材料表示のところに豚脂や牛脂とか動植物性油脂とか書いてあります。中華料理、マクドナルドのフライドポテトを上げる油とかに使われています。
 これまでは、ラード、牛脂が主力製品だったのですが、最近では、油に臭いを着ける仕事もおこなっています。シーズニングオイルといって、もともとは無味無臭の植物油に、香味原料のニンニクとかネギとかエビとかで臭いをつけた製品です。今日は15種類もってきましたが、これらのシーズニングオイルを加工食品や飲食店向けに100種類以上は作っています。真っ黒い油は、マー油といって、ニンニクをラードで揚げて真っ黒になるまで焦がした油です。このマー油は味の素の冷凍チャーハンに使われていています。このシーズニングオイルを作る工場は、7年前に飯田先輩の会社に設計、建築してもらっていただいた工場で、おかげをもちまして、当社の稼ぎ頭の製品を作れるようになっています。
 もう一つの事業が、リサイクルの仕事です。レストランや、飲食店で揚げ物をした後の使い終わった廃油を回収してリサイクルをしています。神奈川県内の小学校の給食施設、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、また、最近ではどのコンビニでも揚げ物やっていて、コンビニからも廃油が出てきます。セブンとファミマで神奈川県内に2000件あり全て回収しています。神奈川県内の油を集めて、月1000t弱、年間1万トンの廃油をリサイクルしています。リサイクルされた油は、鶏のエサにカロリー源として使用されたり、ヨーロッパへバイオディーゼル燃料の原料として輸出され、ジェット機や車の燃料として使用されています。
 大学時代京都にいたころ、比叡山の延暦寺で聞いた話が心にのこっています。比叡山延暦寺に根本中堂という本堂のご本尊の前に大きな灯篭が3つあります。その灯篭の火は、天台宗の開祖である最澄が、比叡山に篭り修行した際に、自分の手で彫った薬師如来像の前に灯した火で、その火が1200年間の間、一度も消えずに今に続いているということでということだったのです。いわゆる有名な「不滅の法灯」です。その法灯は、菜種油で火を灯しているので、油を継ぎ足し、継ぎ足ししているのですが、半日や1日ぐらい油をやらなくても火は消えないそうですが、気を抜いてしばらく忘れたり、油をこぼしてしまったり、はたまた災害に見舞われると、火は消えてしまう、油が途絶え火が消えるということは、最澄の教えが断たれてしまうことを意味することから、「油」と「断たれる」で油断大敵の油断ということばの由来にもつながるという話でした。
 鈴木油脂は油の会社ですので、油が途絶えてしまうと会社の灯りが消えてしまいます。油断せずに、地域の貴重な油を有効活用させていただき、社会に貢献していきたいと思います。

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ACCESS

伊勢原ロータリークラブ例会会場 和膳 照國
〒259-1133 神奈川県伊勢原市東大竹937-1/TEL:0463-92-1919

http://wazen-terukuni.com/

●小田急線伊勢原駅南口より平塚方面へバスで5分、馬渡停下車。
●伊勢原街道(61号線)沿い。
●伊勢原駅から1,326m
●送迎バス有り