伊勢原ロータリークラブについて
卓話
[2568回 例会]𡈽屋 修氏
国内最大級の奨学生数
まずは、米山ではどのくらいの奨学生を支援しているかについてお話しします。
米山は、外国人留学生を対象とする民間の奨学金では国内最大規模です。2018学年度は日本全国で852人が採用され、現在、各ロータリークラブでお世話をいただいています。累計では世界127の国と地域から2万396人を支援しています。奨学生の国・地域別の割合はグラフのとおりです。累計では中国、韓国、台湾が多いのですが、最近ではベトナムの奨学生が急増しており、今では中国に次いで、多くを占めています。
奨学生数の決定と選考
「将来の目標・留学の目的がきちんとしているかどうか」「交流への熱意があるかどうか」「人柄の良さ」「コミュニケーション能力の高さ」
詳しい評価項目や点数配分は公表できませんが、こういった項目で点数化し、各地区選考委員会が面接選考をしています。ロータリー米山記念奨学会は2012年に公益財団法人となりました。より一層の公平性・透明性を確保するため、このように全地区共通の選考基準で選考をし、そこに地区ごとの裁量を加えています。米山奨学金はお金に困っている留学生の経済支援ではありません。珍しい国だから、生活に困っているから、学校の成績が優秀だから、それだけでは米山奨学生に合格しないのです。
巣立った奨学生の活躍/学友会(国内33、海外9)
こうして巣立った奨学生たちは、さまざまな形で活躍しています。ロータリアンなる学友もおり、現在把握されているのは231人。その中には、ガバナーになった学友も3人います。学友が中心となって設立したロータリークラブも国内外に5つあります。また、韓国では2016年に、学友だけの衛星クラブ、「韓国米山セソウル・ロータリー衛星クラブ」も設立されています。巣立った奨学生のOB組織、米山学友会は日本に33、海外に9つあります。
学友会の活動【海外】
各学友会ではさまざまな活動をしています。ミャンマー学友会では、子どもの教育支援に力を入れています。台湾米山学友会ですでは毎年、日本留学フェアでブースを出展し、米山奨学金をPRして台湾の若者に日本留学をすすめています。韓国では、韓国で学ぶ日本人留学生に奨学金を支給しており、今年で累計8人の日本人がお世話になっています。ベトナムはまだ正式な学友会ではありませんが、ホーチミンでは学友グループが養護施設を慰問するなど、活発に活動しています。
学友会の活動【国内】
国内の学友会では、現役奨学生と一緒に活動するところも多くあります。第2620地区(山梨・静岡)学友会では、スリランカの病院へ医療器具を寄贈したり、子どもたちへ文具を贈る支援活動をしています。第2790地区(千葉県)学友会では、米山学友とローターアクトがフットサル交流をしています。関西学友会は、「米山教室」という面白い試みをしています。学友が先生となって、毎週、語学や料理などを教えています。東京学友会の総会では、米山梅吉翁の生い立ちを寸劇で披露しました。
恩返しの気持ち
米山記念奨学事業の成果、それは「学友」そのものです。寄付が減っても学友の数は増え続けます。2011年、東日本大震災が起きたとき、発生直後から日本の無事を願うメッセージが相次いで寄せられ、国内外の学友から760万円の義援金が送られました。米山奨学会への寄付は、ロータリアンだけではありません。学友からも、先ほどの義援金以外に、累計3,339万円の寄付をいただいています(2018年6月末)。東京の事務局にわざわざ大阪から来てくれた台湾出身の学友は、これまでに計200万円の遺言寄付を申請しています。
このほかにも、2007年から11年間、毎年欠かさず50万円を海外から送金してくれている中国の学友もいます。こうした「寄付」という形での恩返しは、他のプログラムではあまりみられない、米山学友ならではのものだということです。
奨学生数は寄付額で決まる
地区で採用できる奨学生の数は、このような計算式で算出しています。
まず、収入予測をもとに、採用数が決まります。2019学年度は850人枠です。株式の「配当金枠」や、海外から直接応募する「別枠」を除く776人を、その地区の寄付総額、個人平均寄付額、特別寄付者割合、有資格者数、それぞれの対全国比で案分します。奨学生数は寄付で決まるといっても過言ではありません。例えば、会員数が少ない地区は、「寄付金総額」で大きな地区に及ばなくても、個人平均寄付額や、特別寄付をする人の割合が高ければ、その分採用数がアップする可能性があります。一つのクラブで誰か1人が10万円寄付するよりも、同じ金額なら全員が5000円ずつ出した方が有利に働くのです。
寄付実績(個人平均)
昨年度の全国平均は16,068円、最も高かったのは、第2590地区(神奈川県横浜市・川崎市)の31,193円でした。当地区、第2780地区は一人平均22,632円、全国で7番目でした。もう少し詳しく見てみますと、当地区の普通寄付金は平均4,773円、全国平均は4,797円。また、特別寄付金は17,858円、全国平均は11,271円でした。
寄付実績(特別寄付者割合)
次は、特別寄付者の割合です。全国平均は45.4%、当地区は79.5%でした。ちなみに、トップは第2840地区(群馬)で83%以上のロータリアンが特別寄付をしています。
この特別寄付者割合は、奨学生採用数にも関わってきます。
ご寄付は奨学事業に
みなさまのご寄付は、どのように使われているでしょうか。
2017-18年度の寄付金収入は14億3,381万円(前年度13億7,305万円)、前年度から約6千万円の増加となりました。昨年度は財団設立50周年の節目となる年度であり、個人が特別寄付をした割合も、過去最高の45.4%と多くの方々からご支援をいただきました。有価証券の配当金(※1)は奨学金として、また、皆さまからの寄付金は奨学事業に使用しています。2019学年度の奨学生採用数は30人増の850人枠とし、黒字分を積み立てている奨学事業安定積立財産からも使用します。
・参考:2018学年度採用は820人枠、2019学年度は30人(枠)増の850人(枠)
(※1)2016年9月に坂本ドネイション・ファウンデイション株式会社(SDF社)から当財団に寄贈された株式の配当金となります。
ご支援のお願い
ガバナーが掲げる当地区の今年度の目標額は、1人当たり20,000円となっております。地区で奨学生を何人採用できるかは、ほぼ、寄付額の全国比で決まります。
1人でも多くの奨学生を採用できるよう、今年度の目標に向けてご協力をお願いします。
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